マンション給水ポンプの役割とトラブル対策

マンションの給水ポンプは、各住戸へ安定的に水を供給するために不可欠な設備です。特に高層階のあるマンションでは水圧が低下しやすく、給水ポンプが水圧を補強することで、すべての住戸に十分な水が行き渡るようになっています。この記事では、マンション給水ポンプの仕組みや役割、そしてトラブルが発生した際の対応方法について解説します。

給水ポンプの仕組みと役割

マンションの給水ポンプは、主に2種類の方式で水を供給しています。

1. 直圧式

直圧式は水道本管の水圧を利用し、ポンプでその圧力を増幅して全住戸に水を供給する方式です。水圧が十分な低層マンションや水道本管の水圧が強い地域でよく使用されますが、高層マンションでは対応できない場合が多いため、ほかの方式が選ばれることが一般的です。

2. 高置水槽方式（受水槽方式）

高置水槽方式は、マンションの屋上に設置された高置水槽に水をためてから、重力とポンプの圧力で各戸に供給する方式です。高置水槽には通常、地下や1階にある受水槽から水道本管の水をポンプでくみ上げ、水槽にためます。高層マンションや大規模な集合住宅で一般的に使われています。

3. 増圧直結式

増圧直結式は、受水槽や高置水槽を使用せずに、水道本管からポンプを介して増圧し、直接各住戸に供給する方式です。水の衛生面でもメリットがあり、中層階のマンションで採用されることが増えています。

給水ポンプで発生しやすいトラブル

給水ポンプは、長期間使用しているとトラブルが発生することがあります。主なトラブルは以下の通りです。

1. 水圧低下や断水

給水ポンプが正常に作動していないと、水圧が低下し、特に高層階の住戸で水が出にくくなったり、断水が発生することがあります。ポンプの老朽化やモーターの故障が原因である場合が多いです。

2. 異音や振動

給水ポンプから異常な音や振動が発生する場合は、ポンプ内部で異常が起きている可能性があります。モーターの不調や配管のゆるみ、ポンプ内の汚れが原因となることが多く、早急な点検が必要です。

3. 水漏れ

ポンプや配管の接続部分の緩みや劣化により、ポンプ周りで水漏れが発生することがあります。水漏れはポンプの故障につながるだけでなく、周囲の設備に悪影響を与える可能性もあります。

4. 電気系統の故障

給水ポンプは電気で稼働しているため、電気系統のトラブルが発生すると作動しなくなります。停電や電気系統のショートなども原因となるため、電気設備の点検も重要です。

給水ポンプのトラブルが発生した際の対応方法

マンションで給水ポンプのトラブルが発生した場合、まずは適切な対応を行いましょう。

1. 管理会社に連絡

給水ポンプはマンション全体の設備であるため、個人での修理はできません。まずは管理会社に連絡して状況を報告し、設備業者による点検や修理を依頼してもらいましょう。管理会社が提携する設備業者が、原因を調査し、修理対応を行います。

2. 電気系統の確認

停電が原因で給水ポンプが止まっている場合、電力の復旧を待つことで正常に戻ることがあります。また、ブレーカーが落ちている場合は、ブレーカーを確認して対応してください。

3. 自宅内の水道設備を確認

水圧が低下している場合、念のため自宅内の水道設備も確認しておきましょう。蛇口のフィルターが詰まっている場合、外して清掃するだけで水の流れが改善することもあります。

給水ポンプを長持ちさせるため3つのポイント

給水ポンプの寿命は通常10〜15年程度とされていますが、適切なメンテナンスを行うことで寿命を延ばすことができます。

1. 定期点検の実施

給水ポンプは年に1度程度の定期点検が推奨されています。ポンプや配管、電気系統の状態を点検し、異常があれば早めに対処してもらうことで、トラブルの予防につながります。

2. 水質管理

受水槽や高置水槽方式のマンションでは、水槽内の水質管理が重要です。年に1回は貯水槽の清掃や水質検査を行い、ポンプ内部の配管や部品が劣化しないようにしましょう。

3. 配管の劣化防止

配管の腐食や劣化が進むと、水漏れや異物混入が原因でポンプが故障する可能性が高まります。定期的に配管の状態を確認し、配管が劣化している場合は早めの補修や交換を検討しましょう。

まとめ

マンションの給水ポンプは、全住戸に水を安定して供給するために重要な役割を果たしています。高層マンションでは、特に給水ポンプのメンテナンスやトラブルへの早急な対応が求められます。水圧低下や異音、水漏れといったトラブルが発生した際は、管理会社に連絡し、専門業者による点検・修理を依頼することが大切です。